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<<   作成日時 : 2016/11/14 08:22   >>

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同人誌『小さな詩集 15号』を読む
  佐藤重男
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同人誌『小さな詩集 15号』(「小さな詩集」の会 206.10)が届きました。
同人8人の作品21編が収められています。
作品を順に見ていきます。

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はたちよしこ・短詩「困った」「立て札」「線路」「?」「身をもって」
作品「困った」…「ていねいに教えてもらった」ということは、こちらが、なかなか呑み込めないでいることを、相手が気付いていたということなのでしょうね。だから、気になってこちらの様子を見守ってくれていたのでしょう。気遣いに感謝していいのか、歳をとったなあ、と嘆息すべきなのか…。
作品「立て札」と、作品「身をもって」は連作。立て札は、素材としてなかなかのキャラを持っていますね。崖下に落っこちていた「落下注意」と書かれた立て札。きっと、傷だらけだったことでしょう。でも、役目はしっかりと果たしたようです、身をもって。

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檜きみこ「ミンミンゼミ」「あくび」
作品「あくび」は、「ライオンの声」を持ってきたところがミソ。たしかに、わたしたちは、「言葉を覚えたかわりに」「吠える」ことを忘れてしまったのですね。「進歩」の代わりに
本能の一つを失ったとも。大きな「あくび」は、失ったとおもっていたものが、まだ、身体のどこかに住みついている、そのことの存在証明なのかも…。

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みやもと おとめ「寝不足」「手袋」「鳥のブローチ」
作品「寝不足」は、人間の「身体感覚」の在り様を発見した作品。「眠り」は、わたしたちの頭の中ではなく、外に住みついている生き物だったのですね。寝不足でもしようものなら、顔のあちこちにまとわりついて、嫌がらせ。でも、彼のいるせいで健康なからだを保てる、ともいえます。
作品「手袋」…。手袋が必要な季節になりました。タンスのすみっこでくたっと仕舞われていた手袋。取り出され、手にはめられて、どんなにうれしかったことか。

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島村木綿子「海のいのち」
作品「海のいのち」は、『海に生きるすべてのもの/かれらは「資源」などではない/「いのち」だ』言い切ります。この作者の叫び≠ヘ、「海に生きるすべてのもの」そして、大地に生きるすべてのものの叫び≠ナもあるのです。
過日、新聞に「いのちを食べる」という記事が載っていたことがありました。わたしたちの「いのち」は、自然に生きるものたちによって「生かされている」ということではないでしょうか。

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白瀧慎里子「海の見えるベランダ」「夕立」
作品「夕立」のように、夕立を「夏が お祭りしている」と見立てることは、数年もしたら、「過去」のことになるのではないでしょうか。最近の日本は、温暖化により、もう、四季がめぐりめぐる温和な国土ではなくなっているようです。「竜巻」「ゲリラ豪雨」…などなど、いつどこで起きてもおかしくない気象状況。つい先ごろの新聞によると、成立した「パリ協定」への日本の参加は遅れるとのこと。政府や経済界は、自然エネルギーの推進の遅れを口実に「原発回帰」へと舵を切ってしまいました。福島第一原発の事故は、わたしたち人間だけに被害をもたらしたのではない、そのことも含めて、立ち止まって考える必要があります。

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白根厚子「ぼくら地球人」
作品「ぼくら地球人」の「話者」は子どもです。
ぼくら(少なくともぼく)は、「いろんな国の人と」「友だちになりたい」と思っています。でも、一部の大人たちは、「違い」を際立たせ、その「違い」を理由に傷つけ合っています。そして、まっ先に犠牲になるのは、「ぼくら」子どもたち、そして、父や母やきょうだいたちです。
誰かが、「言葉は理想を形にして見せる手段」といっています。ですから、理想を実現するために、わたしたちは、「言葉」を発し続けなければ、と思います。そして、地球の主人公は、未来を生きる子どもたち、であることを訴え続けることが大切です。たとえ時間がかかろうとも。

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杉本深由起「じゃぐちの ぐちを きいてくれ」「れいぞうこせんせい」
どちらの作品も「ある、ある」ですね。作品「じゃぐちの…」は、ことばあそび詩ですし、作品「れいぞうこ…」は、冷蔵庫を「せんせい」に見立てたところがミソ。

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たの みつこ「葛へ」「V」「文鳥」
作品「葛」は、出だしの「質問していい?」がすべて。うまいですね。そして、「風まかせって わたしも好きよ」の閉じ方も、やわらかい感性を感じさせてくれて、好感が持てます。
作品「V」は、「見えないVサイン」を見えるようにしてくれていて、「言葉の力」を素直に受け止めていいんだな、という気持ちにさせてくれます。
作品「文鳥」は、「二十五グラム」という数字が、郵便の定型料金と同じだということを発見した「私へのご褒美」なのかも。「♪」マークは、ここでは生きています。

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というわけで、いつものように、駆け足での寸評に終わってしまいました。書き手のみなさんには申し訳なく思っています。
なお、テーマ詩の三編については、略させていただきました。
みなさんも、どうぞ、『小さな詩集 15号』を手に取ってみて下さい。

                      ―この項 完―

注、作品のタイトルの引用など、誤字・脱字などのないように努めましたが、何かお気づきの点がありましたら、ぜひ、ご一報ください。

2016.11.14



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