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zoom RSS 続・少年詩時評〈10〉「命を奪い、捨てる前に」再び

<<   作成日時 : 2016/12/25 10:47   >>

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続・少年詩時評〈10〉「命を奪い、捨てる前に」再び 
―「無理心中」と少年詩・童謡の可能性
佐藤重男
 □
本ブログでは、「無理心中」について、何度かとり上げ(注1)、その中で、少年詩・童謡は何か出来る事はないか、そのことについて「(子どもの)命を奪い、(自らの命を)捨てる前に」という考え方を前提に、どのように向かい合えばいいのかを考えてきました。
今年に入ってからも、「無理心中」(の報道)は、後を絶ちません。

 4/6 母子無理心中か 2人の遺体発見 松戸 40代女生と10歳ほどの男児
 6/8 車の中に男児2人の遺体 福岡・八女 母から事情聴く 8日午前 30代の母、死体遺棄の疑い 
 6/21 施設一時帰宅 9歳女児死亡 秋田 母親(40)は重体 無理心中の可能性も 
 8/22 子ども4人 自宅で死亡 福岡 無理心中か 母を聴取/死亡したのは小5男児、小1女児2人、3歳の女児 
 
そして、12月24日付けの朝日新聞「天声人語」に次のような記事が載っていました。
【子どもへの虐待事件が起きるたび、児童相談所の対応が問われる(中略)悲惨な事件を防ぐ最後の砦として、その役割の大きさにもっと目が向けられていい(中略)追い詰められた親を支える仕組みも必要だ▼1年間で生まれる子どもの数が今年は初めて100万人を下回るという。一人ひとりをあたたかく抱きしめる。手を差し出せるのは、親に限らない。】
わたしたちがこれまで二度に渡って取り上げてきた、「無理心中」もまた、虐待の一つに違いありません。
では、わたしたち少年詩・童謡に携わる者は、虐待事件(「無理心中」も)の渦中にある親や子どもに、いったいどんな手を差し伸べればいいのでしょうか。

 □
「無理心中」を決行してしまう親は、おそらく少年詩集・童謡集などを手に取り目を通す、などといった余裕はないでしょう。
では、彼らのそばにいる「隣人」たちはどうでしょうか。
本人が読まなくても、そのまわりにいる人たちが読む可能性は否定できません。「読む」ことで、その人たちの当事者への視線の在り様を変え、そこから「彼ら」を見る視点に変化が生まれ、そこから「彼ら」を支えようという意識が生まれていく、その可能性もまた否定できないと思うのです。
つまり、詩集・童謡集は、直接「彼ら」には届かなくても、間接的に、「彼ら」を支える力を生み出す。その可能性がある以上、それは否定すべきではないはずです。
だとしても、少年詩・童謡は、おそらく、直接的に問題解決の方策にはなりえないでしょう。よく言われるように、文学は、お腹を満たしてくれません。
ですが、日常のあれやこれやで苦しみ、悩んでいる親子にとって、少年詩・童謡は、「非日常の世界」と向き合うことで、こころのどこかに何かを生み出し、あるいは、気づきを通して、明日への道筋が見えてくる可能性を持っている、そのことを期待することが許される、そう信じています。
親子で図書館に出かけ、一緒に本を探す、それだけでも、何かが生まれるはずです。

 □
「これを彼ら(=無理心中を図ろうとしている親や、その周囲の人々)に手渡したい」と思う本がいくつかあります。そのうちの一つが、
 『ちいさな あなたへ』(アリスン・マギー 絵・ピーター・レイノルズ 訳・なかがわちひろ 主婦の友社 2008.4)
この本は、次のように始まり、

あのひ、わたしは あなたの ちいさな ゆびを かぞえ、
その いっぽん いっぽんに キスをした。

そして、次のように閉じられます。

そうして いつか
ながい としつきの はてには、
あなたじしんの かみも
ぎんいろに かがやく ひが やってくる。

わたしの いとしいこ。
そのときには、どうか わたしの ことを おもいだして。

と。
この本は、少年詩・童謡集というよりは、大人向けの絵本詩集といったらいいかも知れません。特に、若い母親たちから「感動した」との絶賛の声が多数寄せられているといいます。
ぜひ、手に取ってみて下さい。

注1 「少年詩時評E無理心中」(2012/10/22公開)、「新・少年詩時評B命を奪い、捨てる前に」(2015/4/20公開)
注2 引用にあたって、誤字・脱字のないように努めましたが、何かお気づきの点がありましたら、ぜひ、お知らせ下さい。

           ―この項 完―

2016.12.24



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