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zoom RSS 『三越左千夫少年詩賞の二十年』序章A気になる?「ぼく」

<<   作成日時 : 2016/12/13 11:00   >>

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『三越左千夫少年詩賞の二十年』序章A気になる?「ぼく」
  佐藤重男
 □
前回は、第11回三越左千夫少年詩賞以降、女性の書き手の受賞作から「私」が消えた、ということを見ましたが、今回は、長いあいだずっと気になっていたことについて、確認しておこうと思います。
それは、ある知人から指摘されたことでもあるのですが、「少年詩・童謡の書き手たち、特に、女性の作品に【ぼく=男の子】の登場が多いけど、なぜ【わたし=女の子】じゃいけないのか」というものです。
たしかに、今年の受賞作『タロとあるく』(祐成智美 リーブル2015.2)では、収められている作品52編のうち17作品に延べ33回も「ぼく」が登場し、一方で「わたし=9(私=0)」ですから、「ぼく」の登場が目につきます。
では、ほかの少年詩・童謡集すべてに当てはまるのかどうか、一人称で登場するケースを、受賞した25冊の詩集・童謡集すべてについて調べて見ましょう。
なお、一つの作品のなかで複数回登場する場合は、その総数を書きだしてあるので、収められている作品の数を上回っています。

空のなみだ       菅原優子    わたし=55 私=2 ぼく=13
とうちゃん       たかはしけいこ わたし=28 私=23 ぼく=0
太陽へ         小泉周二    わたし=5 ぼく=30 おれ=4
だあれもいない日    山中利子    わたし=49 ぼく=0 
空への質問       高階杞一    わたし=1 ぼく=32
シオンがさいた     尾上尚子    わたし=18 ぼく=0 
森のたまご       島村木綿子   わたし=0 私=22 ぼく=0
あしたのあたしはあたらしいあたし 石津ちひろ   わたし=10 私=0 ぼく=2
原っぱの虹       菊永謙     わたし=7 私=1 ぼく=37 俺=1 
空の入口        海沼松世    わたし=0 私=0 ぼく=10 
いちど消えたものは   李錦玉     わたし=42 私=0 ぼく=10
窓をひらいて      村瀬保子    わたし=20 私=19 ぼく=0
おひさまのパレット   いとうゆうこ  わたし=26 私=0 ぼく=8
猫町五十四番地     間中ケイ子   わたし=1 あたし=1 ぼく=0
あしたの風       藤井かなめ   わたし=3 わし=1 ぼく=0 
漢字のかんじ      杉本深由紀   わたし=2 私=0 ぼく=10
また あした      鈴木初江    わたし=8 私=0 ぼく=0
ぼくたちは なく    内田麟太郎 わたし=2 私=0 ぼく=21 ボク=1 おれ=1
こうこいも       江崎マス子  わたし=1 私=0 俺=4 おんど=16
ねこたちの夜      さわださちこ わたし=13 私=0 ぼく=0 
おーい山ん子     最上二郎  わたし=0 私=1 ぼく=0 おら=48 おいら=4
かなぶん        清水ひさし  わたし=5 私=5 ぼく=7 おれ=4
クケンナガヤ      檜きみこ    わたし=10 私=0 ぼく=0 
虫の恋文        西沢杏子 わたし=12 アタシ=1 ぼく=10 俺=6
タロとあるく      祐成智美   わたし=9 私=0 ぼく=33

 □
全体を集計すると次のようになりました。
わたし  327
私     73
あたし    1
アタシ    1
ぼく   223
ボク     1
僕      0
おれ     9
俺     11
おんど   16
おら    48
おいら    4
わし     1
計    715

「わたし(45.7%)」「ぼく(31.2%)」が圧倒的に多いことがわかりました。
では、先ほどの「女性の作品に【ぼく=男の子】が登場するのが多いのはなぜ?」という知人の指摘はどうでしょうか。ほんとうに気になるほど多いのでしょうか。
重複しますが、読みやすいように、女性の書き手17人の分を取り出してみましょう。

空のなみだ       菅原優子    わたし=55 私=2 ぼく=13
とうちゃん       たかはしけいこ わたし=28 私=23 ぼく=0
だあれもいない日    山中利子    わたし=49 ぼく=0 
シオンがさいた     尾上尚子    わたし=18 ぼく=0 
森のたまご       島村木綿子   わたし=0 私=22 ぼく=0
あしたのあたしはあたらしいあたし 石津ちひろ   わたし=10 私=0 ぼく=2
いちど消えたものは   李錦玉     わたし=42 私=0 ぼく=10
窓をひらいて      村瀬保子    わたし=20 私=19 ぼく=0
おひさまのパレット   いとうゆうこ  わたし=26 私=0 ぼく=8
猫町五十四番地     間中ケイ子   わたし=1 あたし=1 ぼく=0
漢字のかんじ      杉本深由紀   わたし=2 私=0 ぼく=10
また あした      鈴木初江    わたし=8 私=0 ぼく=0
こうこいも       江崎マス子  わたし=1 私=0 俺=4 おんど=16
ねこたちの夜      さわださちこ わたし=13 私=0 ぼく=0 
クケンナガヤ      檜きみこ    わたし=10 私=0 ぼく=0 
虫の恋文        西沢杏子 わたし=12 アタシ=1 ぼく=10 俺=6
タロとあるく      祐成智美   わたし=9 私=0 ぼく=33

 □
女性の書き手17人17冊598作品の少年詩・童謡集に登場する「わたし」「ぼく」は、次のようになります。

わたし=304(50.8%)
私=66
ぼく=86(14.4%)
僕+ボク=0

作品のなかで「ぼく+僕+ボク」が登場するのは、17冊のうち7冊39作品です。
【「空のなみだ」13 「あしたのあたしはあたらしいあたし」2 「いちど消えたものは」10 「おひさまのパレット」8 「漢字のかんじ」10 「虫の恋文」10 「タロとあるく」33=86】

このように、598作品中39作品(6.5%)、延べ86回の登場、という見方をすれば、それほど多いという感じはしないのですが、…。
冒頭で紹介したように、『タロとあるく』(祐成智美)を読んだ方にとっては、たしかに「多いなぁ」という印象はぬぐえないでしょう。

(参考までに付しておくと、男性の書き手8人8冊301作品に登場する「わたし」「ぼく」は、わたし=23 私=7 ぼく=137(45.5%)など、となっています。
また、「なぜ、女性の書き手の作品に「ぼく」が頻繁に登場するのか、そのことについては、「本編」のなかでも取り上げていくことにします。)

                    ―この項 完―

2016.12.13


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