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<<   作成日時 : 2017/01/08 15:58   >>

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少年詩時評「新しい年を迎えて」
  佐藤重男
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少年詩・童謡の書き手たちを励まし、その活躍を顕彰する唯一の賞であった「三越左千夫少年詩賞」が昨年、その二十年の幕を降ろしました。
この賞は、前年の一年間に発行された少年詩・童謡集の中から、すでに一家を成している詩人を除いた、若手・中堅の詩人たちの著作を対象に贈られてきたもので、昨年(2016年)出版された詩集・童謡集には、その恩恵が及ばないことになります。

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もちろん、賞を与えられるということは名誉なことであり、それをバネにさらなる飛躍を果たす詩人たちもたくさんいます。
それよりも、ここで問題としたいのは、「批評にさらされる場」が無くなってしまう事、それがどんなに書き手にとって大きな損失であることか、ということに尽きます。
批評とは、作品のあれやこれやの欠点を挙げ叩くことではありません。批評とは、いってみれば作品に磨きをかけ、いっそう光り輝くものにする行為に他なりません。
ゴシゴシ、と汚れや手垢をこすり落とし、それ本来の姿を露わにしていく工程なのです。

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少年詩・童謡は、出版されて「終わり」ではありません。読者の目に触れ、批評にさらされてこそ、はじめてこの世に「誕生」した、といえるのであり、そこから「旅」が始まるのではないでしょうか。
しかしながら、少年詩・童謡集を待つ現実は、そうではありません。
本ブログでも、なんども紹介してきましたが、少年詩・童謡集は、ほぼ自費出版に近い形でしか刊行されません。初版は五百部前後で、大半の詩集は、同人や知人などを通じて配られ、ごくわずかの冊数が図書館などで購入されるという幸運に出会うのであって、しかも、その大半は増刷されることはほとんどありません。
つまり、せっかく生まれて来たと言うのに、旅(世間の目に晒される)にすら出ることもなく、その短い生涯を閉じることになる、といっていいかも知れません(もちろん、作者の中では作品=その思い、は生き続けていくわけてすが、それで終わってしまっては、社会的な遺産として蓄積されません)。

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年が明けたばかりだというのに、「暗い話」だなあ、と感じた方がいたとしたら、それは、わたしの筆力のなさからくるものであって、わたしが声を大にして言いたいのは、「産みっ放しにするな」ということなのです。
「三越左千夫少年詩賞」がなくなったからといって、しょげることなどありません。書き手自らが「批評家」となればいいのです。現に、「少年詩・童謡・詩論研究会」(以下、詩論研と呼ぶ)という集まりがあって、発足以来、その活動(@詩集を読む A参加者自らが持ちこんだ作品の読みあわせ・批評…B『あさのまほう』など、アンソロジーの企画・発行、等々)は、三十年以上も続いています(なお、詩論研は日本児童文学者協会の付設研究会でもあります。その前身は1981年にはじまり、現在の形になったのが1986年11月。隔月開催で、昨年11月、第119回目を迎えたところです)。
また、全国で多数活動している同人誌に集う同人たちによって日々、作品の読みあわせと批評がたたかわされていることは、いうまでもないでしょう。
それから、幸いなことに、「三越左千夫少年詩賞」を主宰してきた、日本児童文学者協会が少年詩・童謡の著作に対する何らかの賞を考えている、と聞き及んでいます。

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いずれにしろ、少年詩・童謡に関わる人たちが、自分の居場所で、それぞれに、「産み落とされた」作品たちを、見守り・育てていく、まずその意識を持つことが求められています。
わたしは、いま、全国に展開している「こども食堂」に、詩論研が企画・発行してきた音読集『あさのまほう』『おんどくのふうせん』などを寄贈し、そこに集う子どもたちに、わたしたちの作品を読んでもらうことを準備しています。
また、本ブログで、「三越左千夫少年詩賞の二十年」と題して、少年詩・童謡の二十年を振り返り、遺産と課題について検証していこうと考えています(ご期待下さい)。

どんなにささやかなことでも構いません。まず動き出すこと、それが必要とされています。
幸いなことに、少年詩・童謡は、「小さきものたち」に対して、深い親和性を持っており、したがって、「見えないものたち」への共感・共鳴は、尽きるところがありません。
大きな転換点に立たされているいま、「小さきものたち」「見えないものたち」が、これからの世界をけん引していくことが判然とする(少年詩・童謡が社会的に注目される新時代の到来)、そんな予感に震えさえ感じます。

                    ―この項 完―

2017.1.7


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