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<<   作成日時 : 2017/04/19 11:11  

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詩誌『小さな詩集 16号』を読む
          佐藤重男
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詩誌『小さな詩集 16号』(「小さな詩集の会」2017.4)が届きました。
同人8人の作品17編が収められています。
いつものように、順に見ていくことにします。

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檜きみこ「三角定規」「芽」「小石」
作品「三角定規」の出だし、「まよいはない」のきっぱり感がいいですね。また、作品「芽」は、観察眼の鋭さに加えて、やはり、この作者ならではの感性がふつふつとわき立ってきます。「はあって ほどける」で、こちらの緊張も一瞬にして解けていくのがわかります。
「んっ」て息を止めて新芽を見つめているのは、「わたし」の方だったのでしょうか。
作品「小石」は、そこらに転がっている石ころとは、ちょっと別格のようです。そんなプライドを持っていること、ちょっと羨ましいですね。

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みやもとおとめ「まん丸」「空の端」
作品「まん丸」は、コンパスで引いた円と、満月と、タンポポの綿毛の「まん丸」のそれぞれが、それぞれの持ち味を出し切っていることに着目。そういえば、自然界は、すべて曲線でできている、という話をきいたことがあります。
作品「空の端」は、気になることにはとことん付きあおう、そんな問いかけなのかも知れません。雲を題材にした作品はたくさんありますが、「空の端に/すーんと」重く沈んでいる雲に着目した作品ははじめてです。

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島村木綿子「羅針盤」「セミ」
作品「羅針盤」は、何げなく机に置いた鉛筆の先が、コンパスのようにある方向を指すのでそちらを見ると、はるか先に「森」が見えたといいます。そういえば、鉛筆は木材から加工されたもの、そして、その木材ははるか先に見えるあの森で伐採されたものかも…。
作品「セミ」は、傷んだ羽を持つセミがベランダに落ちてきて一休みすると、また夏空へと飛び去った、その束の間の出来事を描いたもの。この日は、セミにとって生まれてから一週間目のことだったのか、と想像させてくれます。「もっと生きろよ」の声は届いたのでしょうか。

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白瀧慎里子「ひみつの石」「折り紙」
作品「ひみつの石」は、川でひろった茶色の小石と、おかあさんが耳に付けているちいさな石の対比。でも、「ぼく」は、自分が拾ってきた小石のほうが母さんには似合うかも、と思わずにはいられません。
作品「折り紙」は、小さな源流が、ながい年月をかけて大河となりそして海へと注ぐ、そんな一部始終の一部分を切り取ってきたかのような錯覚を覚えさせます。終わり、「時折 呼ばれているように窓を見た」の一行が、なんとも哀切を感じさせます。

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白根厚子「金柑の実」「赤いオーバー」
作品「金柑の実」は、「トンビに油あげ」ならぬ、「おばあちゃんに金柑」とは、驚きました。ひよどりの呆気にとられた表情が目に浮かびます。
作品「赤いオーバー」からは、子どもの、心身の成長ぶりに目を見張る大人の感動のようなものが読み取れます。

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杉本深由起「ゆたんぽママ」「ありがとう と ごめんね」
作品「ゆたんぽママ」は、童謡詩。毎冬、湯たんぽの世話になっている身からすると、電気毛布などにはない、あちこち移動できる湯たんぽの有難さが手放せません。朝、気が付くと、布団からはみ出て冷たくなっている湯たんぽをみると、申し訳ないやら…。
作品「ありがとう と ごめんね」は、なるほど仲のいい双子のようでもあるのでしょう。たしかに、思っているのになかなか口に出てこない言葉のランキングトップは「ありがとう と ごめんね」かもしれません。

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たのみつこ「アラビカロブスタ」「セキレイは行をする」「椿」
作品「アラビカロブスタ」は、はじめ、タイトルからロブスターの仲間なのかな、と思ったのですが、違いました。コーヒー豆の種類なのですね。いい豆は、やはり心を込めて手で煎れることでより美味しさが増すのに違いありません。
作品「セキレイは行をする」も、修行のための荒行を指すのか、と勘違いしてしまいました。こちらも「ことばあそび」だったようです。
作品「椿」は、声に出して読んでいると、荒修行のための呪文を唱えているような気持ちになってしまいます。呪文ではなく、経文というべきかも知れません。ラスト、「ゆっくり歩いて行く」をどう読むか、――まなじりを決して、あるいは、一つ息を矯めて、…。

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はたちよしこ「春」「桜蕊」
作品「春」は、「匂いがする」という対象へのアプローチに独特の感性を感じさせます。「ふむ ふむ」の語感もいいですね。
作品「桜蕊」も、「蕊=しべ」に注目しているところに、なんとも言えない魅力を感じます。雌蕊と雄蕊が一つになって桜の樹の下に散在している様からヒントを得て、「マッチ棒」のように見立てたことで、「点した」を誘引したのでしょう。見事だと思います。

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いつものように、駆け足での寸評になってしまいました。
今回は、「春」が共通のテーマのようですね。
さくら前線は、北東北から北海道へと移っているようですが、今年は、温暖化のせいでしょうか、「春の嵐」があちこちで吹き荒れているようです。
さくらが散ると、いよいよ若葉の季節。外に出て、思い切り深呼吸してマイナスイオンを取り込みましょう。
 
              ―この項 完―

注、引用にあたっては、誤字・脱字などのないように努めましたが、何かお気づきの点がありましたら、お知らせください。

2017.4.19



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